御堂筋線動物園前駅の床には、何度も試作や試験を繰り返してようやくたどり着いたタイルが貼られています。
地下駅はどうしても、安全性や耐久性、清掃性等の観点から、均質空間になりがちです。そんな中、自然界にあるようなムラ、人工的ではなく、自然界の法則で作り出されたムラを感じる地下空間にしたいと取り組んでいます。その一つが焼きムラのある床タイルです。
今回は色むらや風合いを出すために石器質に分類されるタイルを使用していますが、メトロさんの仕様では、色むらなどが発生しない、通常のホームで見られる磁気質タイル程度の硬さが求められます。さらに、滑りにくさや汚れにくさ(汚れの目立ちにくさ)、コストなど、いくつもの条件をクリアーする必要があります。
まず、環境配慮やコストの観点から、一部再生土をしているため、なかなか色をコントロールすることが難しく、赤が強いタイルが焼き上がってしまいました。調整を重ね、ようやく少しずつ黄色味の強い色味が出てきました。
次に、硬くするためには、土に長石(ガラス系)を混ぜて調節するのですが、発色しにくく、薄い色になりがちです。動物園に向かう多くの子供たちを迎える場所として優しい色のタイルにしたいと考え、試作を繰り返し、目指す色味に近づけています。そして試作を行うごとに試験を行い、要求の性能を満たしているかチェックをしています。
最後に、岐阜県多治見の工場に行って、作り手に狙いたい微妙な色味を直接伝え、最終調整をしています。
メトロさんやメーカーさんなどとともに、そのような課題を一つ一つ丁寧にクリアしたタイルが貼られています。今までの地下鉄にはなかった優しい風合いの床になっていると思います。ぜひ機会があればホームに降りて、ご覧いただければと思います。
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