50年以上続く共同生活物語「ひふみsteps」

「住宅計画入門」住まいをめぐる文化・歴史・空間に、当社で2019年に設計したシェアハウス 「ひふみsteps」が掲載されています。企画者である北雄介のコラムの中での紹介です。

築50年ほどになる建物は、元々1階が大家さん家族の住居、2階は大学生の下宿。家の先代オーナーはかつてこの家の1階に住みながら、若い人に頑張ってほしいという一心で下宿屋を営まれました。その下宿から学生の姿が消えてしばらく経った2009年に、シェアハウス「ひふみ荘」として、新たに若者たちがここに住み始め、ひふみ荘では10年の間に、年齢も職業も、ときに国籍も異なる総勢35人が暮らしました。普段の生活はばらばらでも、時間が合えば一緒に夕食をつくり、誕生日や忘年会にはパーティを開く、事業者の介在しない自主運営型のシェアハウスであったが、月1回の定期ミーティングを欠かさず開催して生活やお金のことを話し合い、DIYによる改装も行なわれました。

そして2019年、ちょうど10年の節目をもっていったん解散。そして大規模な改装をして、新たなシェアハウスとして生まれ変わりました。下宿やひふみ荘の個々の多様な暮らしを受けとめてきた文化を継承し、それらの暮らしが互いに響き合うシェアハウスを目指しました。

「ひふみsteps」という名前は、1階の、手前から奥へとだんだんに上がりながら3つの共用空間が連続する様子を、「ひ・ふ・み」の3ステップになぞらえると同時に、ここに住まう人が人生のステップを上がっていってほしいという、先代の思いを引き継いだ現オーナーの願いも込められています。

50年間の社会の変化や要求をつきぬけ、連綿と受け継がれてきた共同生活の物語。ひとえにクライアントの2世代にわたる若い人を応援したいという”思い”によるものです。

worksの中でも紹介しています。ぜひご覧ください。

https://naka-masa.jp/jp/works.html#hifumi_steps