中東視察

JIA近畿支部住宅部会のプログラムで2024/10/6〜10/14間、中東を視察してきました。

・視察全体を通して

中東の建築や設計事務所の視察、建築家協会の会合への出席など、とても充実した時間でした。

ドバイの日建設計さんの事務所
ドーハーの現地設計事務所

私は、お話ししたことがある人がほとんどいなかったため、また相部屋ということもあり、少しの不安を抱えながら参加しましたが、建築を志しているもの同士、初日から打ち解けることができ、とてもリラックスして建築と向き合うことができました。また参加された方、特に相部屋の方と親睦を深めることができ、合間合間では建築や事務所運営、仕事との向き合い方など沢山の意見交換を行うことができ、副次的な成果もありました。

ドーハーの高層ビル群を背に記念写真

・都市について

ドーハ、ドバイ、アブダビともに、オイルバブルという様相は否めず、この行末はと思うことが多々ありました。日本の埋め立てによってどんどん土地を拡大した時代に似ているのではないかと思いました。

ドバイ パームジュメイラ(埋立地)

それぞれを見ていくと、最初に訪れたドーハは、比較的計画的にオフィス集積エリアやエジュケーションシティーなどのようにエリアごとの開発がなされ、それぞれマスタープランがあり、統制が効いているように思いました。ワールドカップのドーハー大会も渋滞などもほとんどなくスムーズだったと現地の運転手が入っていました。一方ドバイは無秩序もしくは経済原理で広がっているという印象で、ごちゃごちゃしており、渋滞も多い印象です。アブダビは1日しかいなかったため、正確には理解できていないですが、マップ等を見る限り文教地区やオフィズゾーンなどゾーニングがなされある程度整理されているという印象です。

ブルジュ・ハリファからドバイの街を見下ろす

・建築について

コンテクストのない中、何か目立つ必要があるということで、様々な取り組みがなされていましたが、どれも深く心を打ちませんでした。人の手癖が前面に出ているため、世界一と言われてもその奥にある普遍性のようなものがなく、薄っぺらですぐに消費されるものに感じられます。ドーハで開発前のコンテクストを読み解いて、街作りをしている事例も見せてもらいましたが、何か的外れなような気もしました。なぜなら、先に書いたように目立つ建築を建てるというコンテクスト(町の印象)の方がもはや開発以前のコンテクストよりも強く、その新しいコンテクストを否定しても、片手落ちのように思えてしまいました。

その中で、私はドーハのOMA Oatar National Libararyとドバイの日建 One Zaabeelが良いと思いました。とてもシンプルなフォルムや操作でありながら、それらが最大限空間として生かされている。シンボリックと空間が表裏一体で実現されている。どこの都市に行っても輝きを放ちそうな建築である。詰まるところの悪目立ちをする必要はないのではと感じました。

Oatar National Libarary外観
Oatar National Libarary内観
One Zaabeel外観 2つのタワーの間に高速道路が通っています
One Zaabeelのブリッチ内部

その他にも素晴らしい建築はたくさんありました。

イスラム美術館
カタール国立博物館
アブダビ ルーブル美術館

・レムコールハースと遭遇

この視察で1番の嬉しいハプニングは、OMA Oatar National Libararyに設計者であるレムコールハースがいたことです。建築界のスターを目の前にして、芸能人を前にした気持ちで、建築を見るか、レムコールハースの振る舞いを見るか究極の選択を迫られていました。

・トヨタ ランドクルーザーの本領発揮

日本でもトヨタのランドクルーザーをよく見かけますが、今回は砂漠ヘ行く時に乗ることができました。砂漠のような過酷な環境でも安定した走りで、世界最高峰のクロスカントリー車の実力を肌で感じることができました。

砂漠に立つリチャード・セラの彫刻

アブダビには、有名建築家設計の建築がたくさん建設中で、是非また行ってみたいと思います!